イデアル説明
イデアルとは何か、全く数学に触れてない人間からすると、イデアルは意味不明な対象に見えます。 なんで必要なのか、いったい何なのか、どういう風に求まるのかよくわからないものだと思います。
ということで、数学よりの説明、定義を簡単に説明し、 別の説明をしてみようと思います。
理論の説明
理論の準備【蛇足】
は, をまとめたものとします。 多項式 なら変数 で作られる多項式 と考えます。 は多項式環を示します。和と積と変数、係数で定義される式すべてです。 よくある式みたいなもの([tex: x+y2] みたいな)を想定していただければいいと思います。
例えば、なら、 といった感じです。
定義
多項式環 の部分集合で、次を満たすものを のイデアル とする。 は次を満たす。、
- ならば、
- 、 ならば
と書いて、 で生成されるイデアルと呼びます。 また、多項式 を の生成元、または基底と呼びます。
説明
イデアルってなに?というと、ある式を足し算、掛け算して新たにできる式すべての集合、というイメージです。 つまり、イデアルの要素全体は、ものすごい量の式を含む集合です。
ただし、コアとなる部分は、ある式(生成元、基底)であるので、ある式が [x2 + 2x + 1] とかなら、 を代入すると、 イデアルの要素すべてが0になるはずです。
つまり大雑把に、誤解を含むかもしれない言い方をすれば、コアとなる、ある式(生成元、基底)と同等の特性を持つ式の集合と考えられます。
例えば、イデアル として、全く同じイデアル[ tex: I] を生成する別の生成元 が得られるとします(つまり )。 に対して計算することと、 に対して計算することで同じ解が得られるということです。
この別の生成元 は、グレブナ基底に相当します。変数を消去したり、連立方程式を解く、というのはこの辺りから出てくるということですね。
では、情報系よりの、別の説明を書いてみます。
イデアルとは何か(情報系むけの別説明)
イデアルって何?というと、例えばイデアルは、HTMLソースであると考えます。 イデアルは、HTMLで書かれたソースすべてです。いろんなソースがあって当然ですし、その枠で考えるとすごく広いですね。
さらに、イデアルがHTMLソースなら、基底はタグとし、文章を、任意の多項式とします。文章はタグを含む文章であってもよいとします。
HTMLならHTMLタグは共通して書かれていますし、タグと任意の文章でHTMLソースは作られています。
例えば、HTMLで文章を書くとすると、
<p>ここに文章</p> <p><a href="hogehoge.html">たとえばリンクとか!</a></p> <p><strong>文章を強調してみたり!</strong></p>
といった形で書かれますね。
「ここに文章」や「たとえばリンクとか!」、「<strong>文章を強調してみたり!</strong>
」が文章に相当します。
同じタグのところは同じ特性を持つ、と考えると、例えば <a></a>
タグなら、リンクを示します。
もっと言うなら、href というようなあらかじめ決められたパラメータを持つこともわかります。
仮に、<a></a>
タグだけ集めた集合(イデアル)を考えます。
この集合に含まれる文章はみんなリンクですし、hrefの後にURLが続きますね。
全く同じことが、イデアルでも起きる、と考えるとわかりやすいと思います。 ある生成元(基底)だけでできた集合があるなら、みんな同じ性質や、同じ操作をすることができる、ということですね。
ここで、「 タグ と 文章 で書かれたもの を集めたものが HTMLソース」であると考えます。 これを用語で置き換えるならば、「 (基底) 任意の多項式 を集めて、足し合わせたものが イデアル」です。
HTMLタグで書かれている以上はみんな同じ「HTMLソース」という大まかな集合に属しますね。 同様に、生成元(基底)で作られる以上は、「イデアル」という大まかな集合に属す、という感じです。
対比してまとめてみる
「 基底 * 任意の多項式 を足し合わせたものが イデアル」=「 タグ と 文章で書かれたコード を集めたものが HTMLソース」
ということで、結構強引でしたが、なんとなくイデアルが何か、イデアルを考えると何が起きるか、 がわかって頂けるとうれしいです。
2017/06/29 作成 2017/11/01 ブログ移行に際して更新